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秒速5センチメートル【レビュー】

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映画『秒速5センチメートル』松村北斗/高畑充希

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すごい!見事に実写化されています。本作は、新海誠監督が33歳の時に作った同名アニメーション作品を、33歳(撮影当時)の奥山由之監督が実写化。第三者からみても何だか不思議な縁を感じるこの偶然について、奥山監督は下記のように述べています。

映画『秒速5センチメートル』上田悠斗/白山乃愛

新海誠さんが当時33歳の時に紡ぎ上げていた物語を、いま33歳の僕が撮らせて頂くことに、ただの数字とはいえ、大切な巡り合わせを感じております。今しか作れないものがあるということ、いずれは忘れてしまう眼差しがあるということに気付かされながら『秒速5センチメートル』と向き合っている日々です。(映画公式資料)

映画『秒速5センチメートル』

アニメーション版と実写版では、そっくりそのままのシーンもあれば、アニメーション版は63分の作品、本作は121分という点からもわかるとおり、実写版にしかない展開も多々あります。だから、既にアニメーション版を観た方も実写版から観る方も別の作品として新鮮な気持ちで観られると思います。

映画『秒速5センチメートル』松村北斗/吉岡秀隆

ただ、実写版から観る方のほうが登場人物同士の関係をわからないまま観られるので、良い意味で展開を予想できずに最後までハラハラさせられるでしょう。一方、アニメーション版を観ていたら観ていたで、実写版特有の展開には一層意外性をもって観られるのではないかと思います。

映画『秒速5センチメートル』宮﨑あおい/白山乃愛

そして、新海誠監督作品を象徴する宙の壮大さと美しさは、実写版でも見事に再現されています。アニメーション版でも実写版でもそこがブレていない点に余計に感動します。

映画『秒速5センチメートル』

ストーリーが本当によくできていて、別の時間軸をいったりきたりする構成も見事です。前半がものすごくロマンチックな分、物語が進んでいくにつれて出てくる人生の辛辣な部分とのメリハリが効いていてすごく見応えがあります。好みは分かれるのかもしれないものの、結末にはすごく説得力があり、私はとても好きです。2025年もまだ3ヵ月ありますが、私にとっての2025年ベスト10に入りそうな1本です。

デート向き映画判定

映画『秒速5センチメートル』森七菜/青木柚

いろいろな感情が渦巻くストーリーなので、デートで観るとどういう化学反応が起こるか未知数です。2人の心の距離が近づくこともあれば、逆もまた然りです。ただ、鬱々とした状況から抜け出せるよう、背中を押してくれる内容なので、2人の関係をハッキリさせたい場合は、敢えて向き合うきっかけとするのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『秒速5センチメートル』青木柚

主人公が小学生の頃、思春期、大人になってからの物語で構成されていて、皆さんも等身大で観られると同時に、大人になってからの自分を想像できる部分があると思います。運命の出会いとはどんなものかを想像できると同時に、その意味にはいろいろな解釈があると気づけると、どんな出会いも一層大切にできるのではないでしょうか。

映画『秒速5センチメートル』松村北斗/高畑充希

『秒速5センチメートル』
2025年10月10日より全国公開
東宝
公式サイト

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©2025「秒速5センチメートル」製作委員会


秒速5センチメートル(アニメーション版)

『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』など大ヒット作を数々生み出してきた新海誠監督が33歳の頃に作った作品です。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3本で構成された、全体で63分の連作短編アニメーションです。遠野貴樹の成長が恋愛を通して綴られていて、人生の美しい面だけではなく、しょっぱい現実も描かれている点が秀逸です。たとえば、幸せな瞬間とともに、それが永遠には続かない現実を知る貴樹のセリフには、胸がキュンとすると同時に、大人なら自分が思春期だった頃の心情に一気に引き戻されるはず。
また、新海誠ワールドを象徴する宙の壮大さと美しさを描いた場面が複数あり、新海誠の原点といわれる所以にも納得です。最後のエピソードでは、走馬灯のようにあらゆる場面が映し出され、山崎まさよしが歌う“One more time, One more chance”が音量を上げて流れる演出が、観ている側の感情をストレートに揺さぶります。新海監督の人並み外れたセンスを感じると同時に、頭で考えて表現できるものではない、言葉では言い表せない思いが映像にぶつけられたと感じる秀作です。

『秒速5センチメートル』
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TEXT by Myson

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情報は2025年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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